〈3年〉紙漉き体験

江戸時代から深野地区は、和紙作りに適した水が流れていることや、南向きの傾斜地であること、原料であるコウゾやミツマタを栽培しやすい環境にあることから「深野和紙」として紀州藩の藩札用の紙に採用されたり、明治に入ってからは、初めて発行される切手の紙に使われたりしたそうです。また、丈夫なことから伊勢型紙や・和傘の材料としても利用されてきました。現在も県指定の伝統工芸品に指定されています。

1月24日(火)、和紙和牛センターで3年生が昔ながらの工程で紙漉き体験をさせていただきました。

今回は粥見小学校と一緒に体験させていただき、隔年で体験させていただいている木の皮はぎも、粥見小学校とともにさせていただくことになりました。

紙漉きを教えていただくのは深野和紙保存会の皆さんです。

「マグワという道具を使って漉きます。」

「まず、紙漉きのこのワク(マグワ)を水できれいにするよ。」

「漉き方はこうだよ。」「縦に揺らして、横に揺らして。」「体をゆすって。」

「では、漉いていきましょう。」3回挑戦できます。初めは手取り足取り、回数を重ねるごとにうまくなっていきます。

すき船の中は、木の皮の繊維で満たされています。ときどき繊維を攪拌し沈殿しないようにしていただきます。

引き上げた後は、機械を使って乾燥させます。

さらにマグワから外し熱で乾燥し完成です。

出来上がった和紙を大切そうにしまいます。

「手がすべすべする。」

「つなぎのせいかな?」

「つなぎ?」

「これがつなぎのトロロ。」「さわってええよ。」

みんなバケツに手をつっこみます。

「トロトロのドロドロ。」

「こんなのつくったよ。」「木の繊維の団子だね。」

担任の先生や校長先生も挑戦しました。

先生の作った紙を乾燥させるのは子どもたち。

「ありがとうございました。」

体験が終り深野和紙について、保存会会長の野呂さんから教えていただいたり、映像を見たりして詳しく知ることができました。

「これは、和紙の原料のコウゾ。」

トロロアオイの枝

気が付くと外は雪が吹雪いていましたいました。

粥見小学校のみんなの体験も終わりみんなで記念撮影です。みんな満足そうな顔です。

記念撮影の後はもう一つのお楽しみ。紙漉きの材料となる木の皮はぎ体験です。

木の枝を蒸しているふたをゆっくりあげます。その蒸気の香りはまるでサツマイモのよう。「焼きイモのにおいがする。」「ほんとやサツマイモ。」まるでイモを蒸した時のようなにおいがします。

 

「剥くときは太い校からこうやって。」さっそくはぎ始めます。

「熱い。」「熱いよこの枝。」

蒸された枝は触ってみると確かに熱い。でも、この寒さでかじかんだ手にはホッとするあたたかさ。

「さあできた、皮はぎは時間との勝負、みんながんばれー。」子どもたちが一斉に皮をはぎ始めます。

むいた枝はつるつるしていてとてもきれい。皮よりも枝の方が価値がありそうに感じたのか、子どもたちは枝を手に取り、皮をコンクリートの床に捨てていきます。

「ダメダメ大事なのは皮!」「皮はこっちに持ってきて。」

「熱い熱い」といいながらも子どもたちは皮はぎに夢中です。

  

次はミツマタです。

「こんなに細かい枝をはぐことができるのかな。」

 

粥見の3年生と入り乱れてのミツマタはぎです。

「これははぐツルっと剥けて気持ちいいよ。」

干された黒皮はまるで北海の浜の昆布干しのようで、潮騒の音が聞こえてきそうです。

さて子どもたちで後かたづけ。枝を運んだり、ミツマタの枝をほうき代わりにして床をきれいにしました。

3年生のみんなは、お話をよく聞いて、一生懸命体験に臨む姿が光っていました。

さて、木の皮は束ねられ、干されます。そのあと・もどし・煮沸・漂白・灰汁取り・さらし・たたき等々の工程を経て、今回の紙漉きの材料に近づくそうです。

子どもたちは、今回の貴重な体験を通して地域の文化に触れることができました。このことをきっかけとして自分たちの住む地域が誇らしく思えるようになればと思います。

深野和紙保存会の皆さんありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

シェアする